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 法人企業統計調査:経常利益35兆円余で過去最高

 【参考資料1 財務省 法人企業統計調査】

財務省が9月2日公表した法人企業統計調査では、今年4月から6月までの国内企業の経常利益は35兆円余と四半期ごとの額として過去最高となりました。

円安によって製造業の利益が押し上げられたことや、サービス業が好調だったことなどが要因ではないかと分析しています。

法人企業統計調査は、3か月に1度、資本金1000万円以上の3万社余りを対象に行っています。

今年4月から6月までの金融と保険を除いた国内の企業の経常利益は、35兆7680億円と、去年の同じ時期に比べて13.2%増え、四半期ごとの額として過去最高となりました。

このうち、製造業は、自動車メーカーで円安を背景に利益が押し上げられたほか、半導体メーカーでAI技術の進展によりデータセンターの建設が増え部品の受注が伸びたことなどから13%増加しました。

また、非製造業は、日本を訪れる外国人旅行者の増加でホテルや飲食店といったサービス業が好調だったほか、建設業では大型案件の受注が進んだことなどから、13.3%増えました。

企業の設備投資の総額は11兆9161億円と去年の同じ時期より7.4%増えました。

製造業は半導体メーカーがEV=電気自動車などに使われる部品の生産体制を強化したことなどで1.4%増えたほか、非製造業では飲食店の新規出店が進んだことなどから10.9%増えました。

「内部留保」600兆円超で過去最高

法人企業統計調査では、企業が手元に残している利益剰余金、いわゆる「内部留保」につ

いても調べています。

それによりますと、金融と保険を除いた国内企業の「内部留保」は昨年度600兆9857億円で、前の年度より8.3%増えました。

内部留保が増えるのは12年連続で、過去最高となりました。

財務省は「内部留保の増加は、好調な企業業績が背景にあるとみられる。持続的な賃上げによって、収益が労働者に分配され、消費が伸びることで経済の成長につながるか見ていきたい」としています。

GDP改定値伸び率年率換算でプラス2.9%に下方修正

【参考資料2 内閣府GDP速報値】

内閣府が9月9日公表した今年4月から6月までのGDP=国内総生産の改定値は、最新の統計を反映した結果、実質伸び率が年率換算でプラス2.9%と先月発表された速報値のプラス3.1%から下方修正されました。

内閣府によりますと、今年4月から6月までのGDPの改定値は、物価の変動を除いた実質の伸び率が前の3か月と比べてプラス0.7%でした。

これが1年間続いた場合の年率に換算するとプラス2.9%となり、先月15日に発表された速報値から0.2ポイント下方修正されました。

GDPの伸び率がプラスとなるのは2期ぶりです。

GDPの半分以上を占める「個人消費」は、前の3か月からの伸び率が速報値のプラス1.0%からプラス0.9%に引き下げられました。

企業の「設備投資」も最新の統計の結果を反映した結果、速報値のプラス0.9%からプラス0.8%に引き下げられました。

一方、モノやサービスの輸出はプラス1.5%と速報値から0.1ポイント引き上げられました。輸入はプラス1.7%と速報値と同じ水準でした。

4月から6月までのGDPでは個人消費が5期ぶりにプラスに転じていて、今後も消費の伸びが続き、経済の成長に勢いがつくかが焦点です。

日本の国際収支統計 過去最大31930億円

【参考資料3 財務省 国際収支統計】

財務省が、9月9日公表した国際収支統計によりますと、今年7月の日本の経常収支は3兆1930億円の黒字となり、去年の同じ月と比べて4180億円増えました。

国際収支統計は、日本が海外との貿易や投資でどれだけ稼いだかを示す指標で、今年7月の経常収支は3兆1930億円の黒字で、7月としては過去最大になりました。

黒字は18か月連続で、7月としては比較可能な1985年以降で最も大きくなりました。

日本企業が海外の子会社から受け取った配当金や、保有する債券の利子の収支を示す「第一次所得収支」が4兆4410億円と、1か月の黒字額として過去最大となったことが主な要因ではないかと財務省は分析しています。

海外金利の上昇や円安を背景に、黒字額は去年の同じ月と比べて8916億円増えました。

また、「貿易収支」は4827億円の赤字で、スマートフォンや医薬品の輸入が増えたことなどが要因で、去年の同じ月は1072億円の黒字だったのが赤字に転じました。

「毎月勤労統計」実質賃金2か月連続プラス

【参考資料4 厚生労働省 毎月勤労統計】

9月5日、厚生労働省から「毎月勤労統計調査」が公表されました。

今年7月の実質賃金は2か月連続プラスで、現金給与総額31か月連続プラスとなりました。

厚生労働省は、全国の従業員5人以上の事業所、3万余を対象に「毎月勤労統計調査」を行っていて、ことし7月分の速報値を公表しました。

それによりますと、基本給や残業代、ボーナスなどを合わせた現金給与の総額は、1人当たり平均で40万3490円と、前の年の同じ月に比べて3.6%増加し、31か月連続のプラスとなりました。

このうち、基本給などにあたる所定内給与は26万5093円と、2.7%の増加で、31年8か月ぶりの高い伸び率となりました。

また、ボーナスなど特別に支払われた給与も11万8807円と、6.2%増加しました。

物価が高止まりする中、賃金の上昇も続いていることから、物価の変動分を反映した実質

賃金は、前の年の同じ月に比べて0.4%増加しました。実質賃金は前の年の同じ月で比べると、ことし6月に27か月ぶりに増加に転じていて、これで2か月連続のプラスです。

厚生労働省は「ことしの春闘の結果、所定内給与の引き上げや、ボーナスを初めて支払う事業所も出てきて、実質賃金のプラスが続いているとみられる。ボーナスは7月までに支払われるところが多いため、実質賃金のプラスが今後も維持できるのか注視したい」とコメントしています。

家計調査実質消費前年同月比0.1%増増加は3か月ぶり

【参考資料5 総務省 家計調査】

総務省が9月6日公表した家計調査によりますと、ことし7月に2人以上の世帯が消費に使った金額は29万931円で、実質で前の年の同じ月より0.1%増えました。増加は3か月ぶりです。

内訳を見ますと、テレビの購入や旅行への支出などの「教養娯楽」が5.6%増加しました。パリオリンピックの開催による観戦需要やボーナスの増加が消費を押し上げました。

また、住宅のリフォームなど「住居」の支出も17.3%増加しました。

その一方で、支出の割合が大きい「食料」では物価高を背景に価格の高い牛肉や豚肉から鶏肉に切り替える動きが出て1.7%減少したほか、「光熱・水道」も政府による負担軽減策が一時、終了したことに伴って4.6%減少しました。

総務省は「収入の増加ほど支出が増えておらず、消費者の節約志向が続いている」としています。

景気動向指数 2か月ぶり上昇

【参考資料6 内閣府 景気動向指数】

内閣府が9月6日公表した7月の景気動向指数によりますと、景気の現状を示す「一致指数」が2020年を100とした基準で117.1となり、前の月から、3ポイント上昇しました。指数の上昇は2か月ぶりです。

半導体の製造装置などの生産が堅調だったほか、厳しい暑さを背景にエアコンの出荷が好調だったことが主な要因です。

これを受けて、内閣府は景気の現状について「下げ止まりを示している」として、前の月の判断を維持しました。

また、景気の先行きを示す「先行指数」は、前の月を0.4ポイント上回って109.5と5か月ぶりに上昇しました。

景気ウォッチャー調査 3か月連続で前の月上回る

【参考資料7 内閣府 景気ウォッチャー調査】

働く人に景気の実感を聞く8月の景気ウォッチャー調査は、お盆の期間の旅行や消費が好調だったことなどから景気の現状を示す指数が3か月連続で前の月を上回りました。

内閣府は、地域の景気動向を把握できる業種で働く人たち2000人余を対象に毎月、3か月前と比べた景気の実感を聞いて指数として公表しています。

8月の調査では、景気の現状を示す指数が49.0となり、前の月から1.5ポイント上がって3か月連続で前の月を上回りました。

調査の中では、九州地方の観光業から「お盆前に連休もあり例年より来客数が増加している」という意見が出ているほか、北海道のスーパーから「お盆の帰省客と観光客の増加により来客数が伸びている」といった声が寄せられています。

一方で、8月は南海トラフの巨大地震への注意を呼びかける「臨時情報」が発表されたほか、台風の接近もあって「キャンセルが多発し大きく収入が減少した」などと観光業を中心に災害の影響が見られるという声もありました。

全体的な指数の回復を踏まえて、内閣府は景気の現状について「緩やかな回復基調が続いている」として1年3か月ぶりに判断を引き上げました。

また、2か月から3か月先の景気の先行きを示す指数は、前の月より2ポイント高い50.3と3か月連続で上昇しました。

                                    以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。 

☆出稿資料☆  
       

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