1998年に発生し、4人が死亡、63人が負傷した和歌山毒物カレー事件。林真須美死刑囚(62)の三度目の再審請求が注目を集めている中、弁護を担当する石塚伸一弁護士が、事件の「冤罪」疑惑について強い確信を語った。
YouTube上で公開されたインタビュー動画で、石塚弁護士は「無罪だと信じています。証拠が無罪を語っている」と強調。再審開始の可能性に期待を示しつつ、捜査の誤りと司法の偏見を厳しく指摘した。
林死刑囚の冤罪について語る石塚伸一弁護士の動画:
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事件は和歌山県で起きた無差別毒物混入事件として世間を震撼させた。林死刑囚は一審で死刑判決を受け、2009年に最高裁で死刑が確定。現在、3回目の再審請求中だ。石塚弁護士によると、再審請求はすでに受理されており、裁判所が検察に意見を求めている段階にある。しかし、検察側は「時間がほしい」と応じ、審理の開始が遅れているという。「再審は開始されるべきだ」と弁護士は語気を強め、林死刑囚の無罪を「証拠が証明している」と主張した。
毒物の特定に端を発する「ボタンの掛け違い」
石塚弁護士は、事件の捜査が「ボタンの掛け違い」から始まったと説明する。当初、毒物は大腸菌O157やシアン化化合物(青酸化合物)と疑われていたが、捜査が進むにつれ「亜ヒ酸でなければならない」と方向性が固定された。和歌山県警の科学捜査研究所の記録では、被害者の心臓血から青酸化合物が検出されたケースもあるという。しかし、これらの可能性は十分に捜査されず、無視された可能性を指摘する。
「青酸化合物は日常生活や自然界に存在するもの。検出された理由は不明だが、捜査がされていないから分からない」と弁護士は語る。毒物がヒ素であることは確かだが、青酸化合物の証拠が残っている以上、他の可能性を排除できないと強調。林家が白アリ駆除業を営んでおり、亜ヒ酸を保有していたという点が、林死刑囚を犯人に仕立て上げる「ストーリー」の基盤となったと批判した。
さらに、東京地検から検察官が派遣され、「他の容疑者の捜査はさせない」との指示が出たという。無罪を示す証拠は多数あるものの、捜査は「林真須美犯人説」に一本化され、偏ったものになったと石塚弁護士は断言する。「無理に無理を重ね、犯人に仕立て上げた結果だ」との言葉は、捜査当局の姿勢を鋭く問うている。
「有罪証明の不十分さ」が無罪の根拠
弁護士は、無罪の根拠として「合理的な疑いが残る」点を挙げる。林死刑囚がカレーに毒を入れた証拠は不十分で、動機も不明瞭。一審判決では保険金殺人の前科が指摘されたが、無差別殺人との関連は薄いと反論する。「保険金殺人は自供しているが、無差別でやるものではない。真犯人が見つかっていないのは捜査のミスだ」。一審、二審の判決が誤る可能性を認めつつ、「裁判所は検察の主張を『合格答案』として見がち。民事裁判のように5対5のバランスではなく、検察に有利な色眼鏡がかかっている」と分析。人間の判断に誤りはつきものだが、こうした偏見が冤罪を生む要因だと語った。
マスコミの自由と報道の歪み
インタビューでは、マスコミの役割にも言及された。石塚弁護士は「マスコミの自由、報道の自由がない」と嘆く。事件当時、メディアは捜査当局の情報を鵜呑みにし、林死刑囚を犯人視する報道を繰り返した結果、世論が形成されたと指摘する。こうした「忖度」が、再審請求のハードルを高めているという。
再審の行方と司法改革の必要性
再審開始の可能性について、石塚弁護士からは楽観的な様子が伺える。「どなたが見ても、有罪になるのがおかしいと思うはず」と証拠の客観性を信じているようだ。しかし、検察の遅延戦術が懸念材料。過去の再審事例では、袴田事件のように長年かかるケースもある。林死刑囚の場合、死刑執行の可能性が残る中、早期の審理が求められる。
この事件は、単なる個別事案を超え、日本の刑事司法の信頼性を問うものだ。石塚弁護士の主張が再審で検証されるか、注目が集まる。
本誌さくらフィナンシャルニュースをはじめ、独立系メディアの役割が、今後の展開に影響を与える可能性もあるだろう。
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