〈はじめに〉
2025年12月、首都高速道路株式会社が2026年度に1キロあたり10%値上げを含む大規模料金改定を検討していることが判明した。
物価高、人件費高騰、老朽化……理由はいくつも並ぶ。しかし、もっと根本的な疑問がある。
「日本の高速道路って、償還したら無料になるって話はどうなったの?」
実際、日本の高速道路は「建設費を償還したら無料化」という大前提で整備されてきた。しかし制度改正を経て、その原則は徐々に消え、いまや政府・国交省・道路会社は「無料化は非現実的」「永久に料金徴収」
という方向に完全に舵を切った。
一方で、世界に目を向ければ
●アメリカはほぼ全ての高速道路が無料
●ドイツのアウトバーンは乗用車無料
●南欧の有料道路でも日本ほど高額ではない
●日本国内でも三陸沿岸道路など無料化例は存在する
なぜ日本はできず、他国では可能なのか?
なぜ日本でも三陸道は無料にできたのか?
さらに、日本の高速道路の料金決定構造は、
「電力会社の総括原価方式」=原価が上がる
ほど値上げが正当化される仕組み
と驚くほど似ている。
本稿では、
①政府・首都高速の公式見解
②裏にある利権・財政・天下りの構造
③海外の無料化が可能な理由
④日本でも無料化された三陸道の仕組み
⑤NEXCOシステム=道路版“総括原価方式”
⑥今後の展望
を深く掘り下げ、日本の“永久有料化”の実態に迫る。
① 政府・首都高の公式見解
——「無料化は無理」の理由
まず、政府・国交省・首都高速・NEXCOが公表している“建前”の理由。
■1 老朽化による維持管理費の急増
首都高速は開通から半世紀以上。
高架区間が多く、大規模修繕が必要。
国交省は
「今後50年間で35兆円の維持更新費が必要」
と説明している。
首都高だけでも数兆円規模の補修が必要だという。
■2 無料化すれば維持費を税金で賄う必要がある
政府説明は以下の通り。
「料金収入がなくなれば、年間1〜2兆円の維持費を国費で賄わねばならない。財源確保は困難。」
しかし後述するように、アメリカやドイツでは実際に税金で賄っている。
つまりこれは“日本の政治構造では無理”という意味に近い。
■3 料金プール制を維持するため
日本の高速道路は
全国を1つの財布にして黒字と赤字を均す
「料金プール制」を取っている。
●東名・首都高など都市部=黒字
●地方高速=赤字
無料化すると、この制度が維持できない。
■4 2000年代の制度改正で「永久有料」が既定方針に
道路公団改革の際、政府は
「無料化は非現実的。維持費まで料金収入で賄う」
という方向を制度化した。
つまり
●建設費
●維持費
●更新費
を永続的に料金収入に組み込む形へ変更した。
=これが政府の“表向きの理由”
しかし、これだけでは海外との違いも、日本国内の無料道路の存在も説明できない。
次章から“本質”に踏み込む。
② 日本の高速道路が無料化できない本当の理由
政治利権・財政構造・天下りの三重構造
日本の高速道路を無料化できない最大の理由は、
「利権構造」+「天下り」+「税制」
という“政治システムの問題”であり、財政問題ではない。
■1 高速道路建設・補修は数兆円規模の巨大利権
高速道路は
●大手ゼネコン
●舗装会社
●信号・照明メーカー
●道路コンサル
●地元政治家の地元業者
が大規模に関わる“国家プロジェクト”。
毎年数千億〜数兆円規模の公共事業が生まれる。
これこそが、政治家が絶対に手放したくない利権。
■2 道路特定財源(ガソリン税など)を守りたい
日本は異常に高いガソリン税を課しており、
●揮発油税
●軽油引取税
●自動車重量税
など、かつて“道路特定財源”だった税金を維持している。
本来、道路が完成したら下げるはずだった。
しかし実際には
一般財源化され“使い勝手のよい金庫”になった。
道路建設を続けなければ、この税の正当性が崩れるため、
“道路が永遠に完成しない構造”が作られている。
■3 官僚の天下り先としてNEXCOが機能NEXCO各社は
●国交省出身者多数
●関連会社も大量
●規制産業で競争なし
●利益は料金収入で安定
という“天下り天国”。
無料化すれば組織の存在意義も縮小し、天下りポストも減る。
だから無料化に全くインセンティブがない。
■4 地方票を固めるための「道路政治」
日本の政治は昔から
●道路
●橋
●港湾
といった“土木国家”の構造が強い。
道路は政治家にとって
「仕事をしている実績」を示す最も分かりやすい手段。
・地元に道路を作る
・建設業者が潤う
・票と献金が入る
これが全国で半世紀続いた。
高速道路はその象徴であり、無料化すれば政治家が影響力を失う。
だから永続的に料金システムを温存する。
=これが、日本が無料化できない“本当の理由”。
③ ドイツ・アメリカはなぜ無料化できるのか?
国家思想の違いと利権構造の弱さ
では、なぜ同じ先進国でも
●アメリカは全面無料
●ドイツは乗用車無料
ということが可能なのか?
■アメリカ:ほぼ完全無料のフリーウェイ
アメリカでは
●州間高速道路(Interstate Highway System)は完全無料
●料金所方式そのものが“非効率”として嫌われる
●渋滞を生む“料金所”を作らないことが前提
維持費は
✓連邦税
✓州税
✓ガソリン税
で賄われるが、日本ほど高税率ではない。
●最大の理由:
「高速道路=国家経済の根幹、公共財」
という思想が強い。
経済活動を妨げる有料化は合理的でない、という価値観が浸透している。
■ドイツ:アウトバーン無料の理由
ドイツは
●乗用車無料
●大型トラックのみMAUT(走行距離課金)
理由は明確だ。
「移動の自由は国民の権利。
国家はこれを妨げてはいけない」
維持費は
●燃料税
●自動車税
●大型車課金
で賄われる。
また、ドイツは道路行政が日本ほど利権化していない。
■無料国の共通点
●道路は公共財
●交通インフラは国家の責任
●建設業界が政治を支配していない
●天下り構造が弱い
●料金収入に依存しない財政システム
つまり
海外は「国民の移動の自由を最大化するために無料」
日本は「政治と官僚の利権維持のために有料」
という構造的違いがある。
④ 日本でも高速が無料化された例(三陸道)
「無料化は不可能」という政府の説明は嘘に近い
日本にも無料高速がある。代表例が三陸沿岸道路(宮城・岩手・青森)。
松島〜石巻、西側区間、八戸〜久慈など、多くの区間が無料。
これが示すのは
「日本には無料化する財政能力も制度能力もある」
という事実。
なぜ無料化できたのか?
■1 法的には“高速道路ではない”から
三陸道は見た目は高速道路だが、法律上は
●一般国道のバイパス
●地域高規格道路
扱い。
国道なので、
●建設費=国費(税金)
●維持費=国費
●償還の必要なし
よって無料化が前提で作れる。
■2 東日本大震災の復興特別措置
2011年の震災後、
「復興道路として無料」
という政府方針が取られた。
復興予算が巨額で、
料金徴収の必要性が消えた。
■3 利用者が比較的少なく、課金のメリットが薄い
都市高速と違い、
渋滞緩和や維持費の観点で、有料化によるメリットが低い。
無料化した方が地域経済が動くため、
政治的にも無料の方が合理的だった。
■4 全国無料化が不可能なのは利権が崩れるから
三陸道の無料化が可能だった最大理由は
「全国的な利権を脅かさないから」。
●首都圏高速を無料化
→ 年間3兆円規模の料金収入が消える
→ NEXCO・建設業界・国交省が困る
→ 政治家の票田が消える
だから絶対にやらない。
⑤ NEXCOの料金制度は“電力会社の総括原価方式”とほぼ同じ
永続値上げが可能な構造
ここが本質であり、最も国民が知らないポイント。
NEXCOの料金は、実質的に
“総括原価方式(電力)”の道路版
になっている。
■総括原価方式とは?
電力会社が長年使ってきた制度で
電気料金=(総原価)+(適正利潤)
総原価には
●燃料費
●設備投資
●人件費
●修繕費
などがすべて“積み上げ式”で加算される。
原価が増えれば
=その分価格に転嫁できる
=利益も増える
という最悪の逆インセンティブ。
もし設定した黒字にならなければ、国が補填して黒字にする仕組み
■NEXCOの料金決定構造も同じ
高速道路料金は
●建設費
●維持費
●更新費
●金利
を回収する方式。
さらに
●償還期限が延長可能
●プール制で赤字補填可能
●維持費が増えるほど料金値上げを正当化
●経営効率化のインセンティブは弱い
●天下り先・関連会社群が多数存在
つまり
原価が増えるほど、値上げしやすくなる。
値上げしても誰も責任を取らない。
これが総括原価方式の本質であり、
NEXCO制度が抱える最大の欠陥。
■だからこそ、今回の首都高値上げは“必然”
●老朽化=原価増
●人件費増=原価増
●更新費増=原価増
→ すべて値上げ理由になる。
値上げしない理由が存在しない仕組みが出来上がっている。
⑥ 総まとめ:
“無料化できない”のではなく、 “無料化したくない構造を作った”のが日本
日本の高速道路が無料化できない理由は財政ではない。
【政府の建前】
✓老朽化で維持費が足りない
✓税金で賄えない
✓プール制が必要
✓無料化は非現実的
【本質】
✓高速道路は巨大企業と政治の利権装置
✓ガソリン税など特定財源の存在
✓NEXCOは“道路版総括原価方式”で永久に値上げ可能
✓官僚の天下り構造
✓改革インセンティブがゼロ
✓無料化すると利権崩壊
だから
永久有料化=国家方針
になった。
⑦ それでも無料化は可能なのか?
可能である。その証拠が三陸道だ。
日本は制度的にも財政的にも
無料高速を作る能力を持っている。
しかし必要なのは
●税制改革(ガソリン税)
●道路行政の透明化
●天下り構造の解体
●料金システムの改革
●技術革新(維持費削減)
など「政治改革」であり、
単純に“お金の問題”ではない。
〈結論〉
日本の高速道路が無料化できないのは、
財政の問題ではなく“政治利権システムの問題”である。
海外ではできている。
日本国内でもできている(無料区間は多い)。
つまり
日本の高速道路は本来、無料にできる。
しかし、それを阻んでいるのは
●官僚
●建設業界
●政治家
●税制
が絡み合った、半世紀以上続く“道路利権の巨大ネットワーク”だ。
首都高値上げは、この利権構造がますます強固になった象徴。
この国が本当に国民の生活を考えるなら、
道路行政は
「国民負担を減らすためのインフラ」
に戻るべきだ。
しかし、現実は逆方向へ進んでいる。
これが日本の高速道路の“永続有料化”の真相である。
さくらフィナンシャルニュース
YouTube
https://www.youtube.com/@sakurafinancialnews



































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































-永井友理-190x190.jpg)
-永井友理-190x190.jpg)




参議院選挙立候補宣言-190x190.jpg)





























































































この記事へのコメントはありません。