日本は世界でもトップクラスの技術力を持ちながら、エネルギー政策の分野では長年「資源のない国」として振る舞ってきた。しかし近年、沖縄周辺の海底資源や南鳥島のレアアース泥など、「日本には莫大な資源が存在する可能性」が示されている。
一方で、政府の動きは鈍い。開発は遅々として進まず、国家として戦略的に資源を活用しようとする姿勢が見えにくい。いま、日本のエネルギー政策には何が起きているのか。
本稿では、海底資源、バイオ燃料、大麻産業、代替エネルギー技術など、“実現可能性がありながら普及しなかった技術” を総覧しながら、日本と世界のエネルギー構造を読み解く。
■ 1. 日本の海に眠る巨大資源 ― 海底のレアアースは「宝の山」
沖縄・久米島沖をはじめとする海底では、銅・鉛・亜鉛・金・銀などの金属を含んだ熱水鉱床が発見されている。沖縄トラフでは、「海底から金を含む熱水が噴き出している」 という報告もある。これが事実であれば、世界でも屈指の金属資源を日本は保有していることになる。
さらに日本の最東端・南鳥島周辺では、世界最大級のレアアース泥が確認されている。推定埋蔵量は「世界の需要の数百年分」という試算すらある。
しかし政府は長く「実用化は難しい」と慎重姿勢を崩さなかった。そんな中、2025年、日本とアメリカの間で大きな転換点が訪れる。
■ 2. 日米が「レアアース協定」に合意――しかし懸念も
2025年10月、日本政府とアメリカ政府は、「重要鉱物・レアアース供給のための協力枠組み」に合意した。両国は、鉱山開発・製錬プロジェクトを共同で支援し、供給網を強化する方針だ。
さらに報道によれば、
2026年1月から南鳥島のレアアース泥回収試験を両国が開始する。
ここで問題になるのが、日本側の資金負担の大きさだ。
日本は同時期、米国に対し 約80兆円(5,500億ドル)規模の投資枠 を提示。
その「対象分野」にレアアース開発が含まれている。
「日本の海底資源を、日本が投資した枠で、アメリカ主導で開発するのか?」
「採れた資源の権益は誰が持つのか?」
こうした懸念が国民の間で広がっている。
巷では「8:2でアメリカに権益が偏るのでは」という噂もあるが、現時点で公式な情報はなく、真偽は不明だ。
しかし、“日本の資源なのに、日本単独で開発しない理由は何か” という疑問は残る。
■ 3. 「資源はあるのに開発しない」日本のジレンマ
日本はこれまで「資源のない国」と教育されてきた。だが実際には、
海底熱水鉱床
南鳥島レアアース泥
メタンハイドレート
希少金属を含む海底堆積物
など、世界的に見ても非常に多様で豊富な資源を保有する。
にもかかわらず、商業化は遅れたまま。
この背景には、技術・環境問題だけでなく、「国際的なエネルギー構造」 が複雑に絡んでいる。
■ 4. 日本が独自技術を育てられなかった理由
― バイオ燃料・産業用大麻・エマルジョン燃料日本が本気で国家戦略として取り組めば、大きな可能性を持つ国産エネルギー技術は多い。
●(1)藻類バイオ燃料 ― “国産石油”になり得た技術
筑波大学などが長年研究してきた藻類オイルは、
「採算ラインに到達した」 と発表されたこともある。
藻類燃料の強み
CO₂吸収
成長が早い
国産で賄える
軽油代替として利用可能
だが国家的な支援は弱く、商業化には至っていない。
●(2)産業用大麻(ヘンプ) ― 戦前日本は世界有数の生産国だった戦前の日本では、大麻は
衣類
織物
神事
ロープ
生活用品
に広く使われていた。
栃木県は大規模な産地で、1年に2回収穫できる地域もあった。
しかし戦後、アメリカの制度が日本に導入される中で、
1948年に「大麻取締法」が制定され、産業用大麻も規制対象に。
常用漢字の改定では、
「痲 → 麻」
「痲薬 → 麻薬」
と統合され、麻のイメージは大きく変化した。
現代では欧米を中心に「産業用ヘンプ」が環境素材として再評価されているが、日本は法規制の壁が厚い。
●(3)エマルジョン燃料 ― “水で薄めても走る”驚異の技術
エマルジョン燃料は、
燃料油+水を混合して燃焼させる 技術。
一般的には
70:30、80:20
などが主流だが、
燃料10%:水90%でも燃焼効率が落ちなかった
という研究も存在する。
しかし、この技術も主流化させてもらえていない。
■ 5. 歴史の中で消えた「代替エネルギー」を考える
水で走る車 / 空気で走る車 / テスラ構想
世界には「もし普及していたら、エネルギー構造が変わっていた」技術がある。
● スタンリー・マイヤー「水で走る車」
水の電気分解により水素を生成し走行するという技術で、
3.7Lの水で160km走る とされた。
学術的評価は割れたままだが、
技術史としては興味深い存在だ。
● タタ・モーターズ「空気で走る車 AirPod」
空気175Lを圧縮してタンクに蓄える
最高速度80km
200km走行可能
という構想だったが、量産化には至らなかった。
● ニコラ・テスラのワイヤレス送電
テスラは「地球全体を無線で電力供給する」という壮大な構想を描いていた。
テスラコイルは現代のワイヤレス充電の原点であり、
技術的可能性は現在も研究の対象になっている。
■ 6. 大麻規制の歴史と「医療大麻」の現在地
アメリカでは1937年にマリファナ課税法が成立し、大麻は厳しい規制対象となった。
しかしその後、
ラガーディア報告(1944)
シャーフ委員会報告(1972)
などで、
「大麻の酩酊性はアルコールより弱い」という研究結果
が出ている。
ただしこれは歴史的資料であり、医学的評価とは切り離して考える必要がある。
近年では、
アメリカFDAが承認した CBD医薬品(エピディオレックス) が難治性てんかん治療に使われており、世界的に研究が進む。
だがこの分野も巨大な医療産業と深く関係しており、
制度・利権・政策の影響を強く受けてきたことは否めない。
■ 7. なぜ日本は「エネルギーの主導権」を持てなかったのか?
海底資源、バイオ燃料、大麻産業、代替エネルギー技術――
これほど多様な可能性がありながら、なぜ日本は本格的に国家戦略として活用できなかったのか。
背景には、以下の構造がある。
●(1)戦後のアメリカ依存構造
法制度、エネルギー供給、外交、軍事。
戦後日本はアメリカの枠組みの中で制度が作られた。
●(2)既存エネルギー産業の影響
石油産業・ガス産業・自動車産業。
巨大産業は国家政策に大きな影響力を持つ。
●(3)新技術への投資不足
国家戦略として支える体制が弱かった。
●(4)“リスクを取らない”官僚機構
前例踏襲主義が革新技術を育てられなかった。
■ 8. では、日本はどう動くべきか?
日本が取るべき方向性は明確だ。
① 海底資源の主導権を手放さない
南鳥島レアアース泥は、日本のEEZ内にある“国民の資産”である。
② 代替エネルギー技術に国策投資する
藻類燃料、ヘンプ、エマルジョン燃料など、
“石油に頼らない技術”の研究を本格支援するべきだ。
③ 産業用大麻の法整備を見直す
世界で最も遅れた国のひとつになっている。
④ エネルギー安全保障を“自前化”する
日米協力は重要だが、権益を守る体制が欠かせない。
■ 9. 結論:日本は「依存」から「自立」へ
いま日本は、
“エネルギー自立”という歴史的な転換点に立っている。
海底資源、代替エネルギー、産業用大麻――
どれも日本の未来を変える潜在力を秘めている。
問題は、
それを活かすのか、見過ごすのか。
日本は、世界が求めるレアアースや新素材を自ら生み出せる国である。
しかしその潜在力を引き出せるかどうかは、
これからの政策と国の意思にかかっている。
さくらフィナンシャルニュース
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