理念よりポジションを優先してきた政治家
和田政宗という政治家、その足跡を年代順に追い直してみると、浮かび上がるのは「筋の通った信念」ではなく、「選挙のために居場所を変え続ける」姿だ。
2013年、和田氏はみんなの党公認で参院選に初当選した。みんなの党は官から民へを掲げた新自由主義色の強い改革政党で、行政スリム化や規制緩和を前面に出していた。
しかし、みんなの党が解党すると、
和田氏は「次世代の党」→「日本のこころ」へと移る。この政党は、石原慎太郎氏らが率いた強いナショナリズム色・タカ派色を特徴とする政党であり、その「日本のこころ」で、和田氏は政調会長や幹事長、党首代行などの要職を歴任している。つまり、党の路線づくりの中心にいた人物だ。
ところが2016年になると、その党を離党し、無所属のまま参議院自民党会派入り。2017年には正式に自民党へ入党し、2019年の参院選では自民党比例代表で再選されている。
そして2025年、参院選で落選した直後に、今度は参政党と急接近する。10月の宮城県知事選では、自民党籍を持ったまま参政党と政策覚書を交わし、全面支援を受けて現職知事と大接戦を演じた。
選挙後、自民党は「他党からの支援を受けた」ことなどを問題視し、2025年12月10日に離党を了承。参政党側は、政調会長補佐として迎え入れたうえで入党を発表している。
右派〜保守系をぐるぐる回遊した10年以上だが、その移籍の動機が「理念の対立」よりも「政党側の勢いと自らの生存戦略」に見えてしまうところに、この政治家の本質がにじむ。
宮城県知事選では、「水道の再公営化」を掲げた和田氏と、官民連携・コンセッション方式(水道の一部民営化)を進めてきた現職・村井知事が真正面からぶつかった。
しかし、この構図を「民営化推進の村井 vs 再公営化の和田」と単純化してしまうと、重要な点が抜け落ちる。
水道法改正(官民連携を後押しする枠組み)に賛成してきた与党自民党側の議員として、これまで和田氏はその枠組みの側にいた。
宮城県議会でも「賛成していた人が今さら再公営化と言い出している」との趣旨の指摘がなされ、和田氏自身の一貫性が問われた経緯がある。
知事選の覚書では、現職の政策への完全な逆張りが並んだ。それは、長年にわたる政策的な検討の結果というより、「現職と真逆のポジションを取ることで票を拾う」という選挙戦略に見えた。
自らが属していた政権与党が推進してきた枠組みに批判が高まると今度は「再公営化」を旗印にする。この身の軽さは、有権者の側から見れば「後出しジャンケン」にしか映らない。
和田氏の「ブレ」は、水道だけにとどまらない。
クルド人問題でも、彼の立ち位置は奇妙だ。
和田氏は「日本クルド友好議員連盟」の幹事長を務めていた。これは、クルド人との友好・理解促進の立場に立つポジションだ。
一方で近年は、埼玉・川口市周辺でのクルド人問題をめぐる議論に頻繁に登場し、「偽装難民」問題などの文脈で注目されてきた。参院選落選後には、Abema Primeに出演し、「クルド人問題を炎上させてビジネスにしている人たちがいる」とネット上の過激な言説を批判している。
一方で、自身もYouTube配信やネット番組、参政党との生配信企画でクルド問題をたびたび取り上げており、自らの政治的露出に利用している側面は否めない。
友好議連の幹事長としての顔と、「偽装難民」「移民反対」を標榜する立場を行き来しながら、最終的には参政党の「移民反対」路線と完全に重なるところへ着地した、というのが現在の図式だ。
2025年10月の宮城県知事選は、現職・村井知事が辛勝したものの、約1万6千票差の接戦となった。
和田氏は自民党籍を持ちながら参政党と政策覚書を締結。覚書には「水道再公営化」「移民反対」「土葬の不許可」など、村井県政への対抗軸が並ぶ
神谷宗幣代表は街頭演説で「公認以上の支援をしている」と公言しその光景は「参政党の選挙そのもの」にしか見えなかった。
つまり、形式上は「無所属・自民党籍の元国会議員」が、「新興右派ポピュリスト政党の看板候補」として担ぎ出された構図だ。そして選挙後、政調会長補佐としてポストを得る。
和田氏は常に今もっとも勢いがある右派・保守系の船に乗ってきた人だということだ。
和田氏は、政党の看板が変わるたびに主張も変わる
水道・移民・土葬といったセンシティブなテーマで、現職と真逆の立場を強く打ち出し選挙戦後、政党側のポストを得る。これは一人の政治家の問題にとどまらない。
「理念よりも選挙」「信念よりもポジション」という政治文化そのものの縮図だ。
コラムニスト:芸能ライター山本武彦
過去に夕刊フジで六本木パパラッチ日記、週刊実話にて六本木黒服の芸能界裏fileを連載。
2024年からXで政治評論シリーズを投稿中。
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