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早稲田祭トークショー松本麗華×阿部恭子 勝手に人生つなげんな!とは?加害者家族の目線で語る壮絶な2次被害と言う産物『近親性交 』著者阿部恭子①




2025年11月2日、早稲田祭2日目の人物研究会主催の講演に、オウム真理教教祖、麻原彰晃こと、松本智津夫元死刑囚の三女、当時のホーリー・ネームはアーチャリーだった松本麗華氏(42)と加害者救済を主に活動をしている『World Open heart』団体の代表、阿部恭子氏(48)が登壇。「勝手に人生つなげんな」をテーマにトークショーが行われた。

松本麗華氏

かつて地下鉄サリン事件など数々の凶悪事件を引き起こし、日本社会を震撼させたカルト宗教「オウム真理教」の教祖・麻原彰晃(本名・松本智津夫享年63)死刑囚の三女である。

長塚洋監督ドキュメンタリー映画「それでも私は『Though Im his Daughter』」出演。

『止まった時計 ― オウム真理教元信者の父を持って』

松本麗華(講談社)

 

『加害者家族として生きて』(創出版)

阿部恭子氏

NPO法人『World Open heart』犯罪加害者家族をささえるリカバリー・サポートの代表理事を務め、犯罪被害者家族の差別や孤立からの支援を行っている。

NPO法人World Open heart理事長。

著書に

『近親性交 語られざる家族の闇』(小学館新書)SNSでも話題の一冊!

『息子が人を殺しました―加害者家族の真実』(幻冬舎新書)

『家族という呪い―加害者と暮らし続けるということ』(幻冬舎新書)  

『家族間殺人』(幻冬舎新書)

『高学歴難民』(講談社現代新書2722)

2025年早稲田祭のテーマは「人生につながろう」であるが、人物研究会はあえて「勝手に人生つなげんな」というテーマで挑んだ。

麗華氏「『勝手につなげんな』というのはどういう意味だろう?と思って学祭のホームページとか見させていただいて。実は私前回早稲田大学で、公演させて頂いたのが父の執行2日前だったので、⋯ちょっと『大丈夫かな⋯自分?』⋯と思っていました。」

 

宗教被害者や宗教2世としての視点からは、「私たち子ども世代は宗教なんかと繋がりたくなかったんだ!」という思いがにじむ発言とも受け取れる。その発信は、学祭のテーマと対照的であったため、いっそう印象に残った。

 

阿部氏「2008年私が大学院在学中に加害者家族支援団体を立ち上げて今に至る。日本で初めて加害者家族支援を行った人っていうのを更新したくて。最近ノンフィクション作家をしており、加害者家族に関係していることではあるが、早稲田大学の皆さんにぜひ言いたいのが『気をつけて!高学歴難民』っていう⋯」(会場笑)

 

安倍氏は最近「新しい弱者」という切り口で、特に加害者家族の支援を続けている。加害者という言葉がつくと加害者側と見られがちだが、実際には被害者でもある。海外では「忘れられた被害者」「隠された被害者」とも呼ばれていて、家庭内で被害を受けている人たちの実情を世の中に伝えたいと思い、ノンフィクションライターとして活動を始めた。

 

日本だと加害者家族も一蓮托生「大変申し訳ありません」謝罪する実態と理念の差って?

阿部氏「被害家族の支援をする中でどうしても『実態と理念』がかけ離れている。例えば加害者家族が謝罪をする。これ非常に、欧米諸国からみるとすごい稀なんです。日本だと、家族が「申し訳ありません」って⋯。私は、こういうことは個人と犯罪を犯した人とを切り離さなければいけないと思っているから、謝罪をする必要がないという立場なのだが、やはり支援する中、日本の文化の中で、そういう風にしないと生活できないところがあるじゃないですか?なので会社に対して「大変ご迷惑をおかけしました」等の謝罪文を作成したりとか、そういうのも実務上やらなくちゃいけない。実態と理念の差があって。」

「理念は理念で言わなくちゃいけないという中で、自分の支援者と切り離したところで、ノンフィクション作家活動をしている。」

と阿部氏は自己紹介した。

 

松本麗華氏は、現在心理カウンセラー。最近立ち上げた一般社団法人『共に生きる』の理事もしている。

「加害者家族当事者として、問題になっていることの解決とか支えとかができたらいいなと思っています。

また、相談に来る方はどこに相談したらいいかわからないっていう方もおられるので、加害者家族に限らず困っている方の助けになればいいなと思って活動しています。」

5歳の時にオウム真理教団へ12歳の時に両親逮捕 そのまま誰にも教えられずに16歳に成長

「5歳のときにオウム真理教に「引っ越して」、16歳までそこで育ちました。

 

本を書く中でいろいろ理解できたんですが、

12歳のときに両親が逮捕されて、何が起きているのか、特に父がどうなっていくのか、説明してくれる大人もおらず何が起こっているかわからないまま過ごしていました。

 

麗華氏は阿部氏と、講演会を一緒にするのは今回が初めてだという。

 

山形で、阿部さんの講演を聞いたときに、「事件発生当時の年齢によって事件の理解が変わる」と言われて、本当にその通りだと思いました。今なら全く違う捉え方をするけれど、やはり12歳のときの出来事なので、そのときの認識のまま理解が進んでいく、『認知のゆがみ』的なものを感じました。」

と阿部氏を知ったきっかけについて話した。

 

阿部氏はこれまで加害者家族2,000人と会ってきた。

「皆さん自分は関係ないと思ってるかも知れないけど、いつ被害者家族や加害者家族になるかわからない。加害者と被害者は、いつ立場が入れ替わるか分からない。麗華さんの事件は大きな事件だったから特別、視れているところがあるかも知れないですけど、あらゆる加害者家族が存在します。それぞれ事件の重さと心の傷っていうものは、必ずしも比例するものではないと思っています。日本では被害者のことを考えろと必ず言われる。それは(当然)考えてますよね?被害者家族の傷と加害者家族の傷、これは比べるに値するものではないと思います。苦しい人は声を上げていい。そういう社会にしていかなきゃいけない。」

「合わない家族とは無理に一緒にいることはない」阿部恭子

家族のカウンセリングはなかなか難しい

「双方の話を聞くことは大事だが、お互いの話をよく聞いた上で無理やり仲良くさせるというよりは⋯逆に離れた方がお互いにいいケースが多いかも知れない。

 

日本のこれは問題だ、と思ってるんですけど、特に家族は仲良くするのが当然だと言う前提が強くある。これが色んな家族病理を生んでいる根本だと思う。

 

家族が一緒に暮らさずにやっていっているケースはたくさんある。無理に一緒にいることはない。」

と阿部氏は答えた。

 

これに対し麗華氏は、

「私の場合は『家族から離れろ、昔の知り合いとは一切連絡をとるな、父親は憎め』っていうふうに言われてしまうので⋯阿部さんが『家族は大事にしなくていいんですよ』って話すんですけど⋯『同じことを言われちゃうのかな?』とちょっと思ったんです⋯けど『でも違う意味だろうな』とは思って、今日もそのお話をお聞きできてよかった。」と心の内側を吐露した。

 

麗華氏は長塚洋監督のドキュメンタリー映画「それでも私は『Though Im his Daughter』」内で、父親である、麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚(享年63)のことを

「父がしたことで多くの人が苦しみ、憎しみが生まれたことは理解しています。でも、私の中の“父を愛していた”という気持ちは、消えません。」と強く語っていたシーンが忘れられない。

そんな麗華氏に対して阿部氏は

「『憎め』『愛せ』っていうのは強制しちゃいけないですよね?それはどんなものであっても。それは自然発生的に生まれる感情だから憎んでも良いし、愛しても良いんです。

 

その人がとことん納得がいくまで愛し、納得がいくまで憎めばいい。多分その先に何かが見えると思うから。私達が吸収したいのは、

それが苦しい、っていう苦しみですね。愛していても憎んでいても苦しい。その苦しみを共有することだと思います。」

と回答。

 

麗華「家族は大切にしないといけないと言われて育ち、家族が犯罪を犯したら、家族と縁を切れ、と言われてしまう。一体何なんだろうな?しかし家族が万引きで捕まった場合は縁を切ると逆に『薄情だ』ってなるんだろうし」

 

阿部「縁を切れ!と言われているのに『家族連帯責任』を言われて結びつけられたり」

麗華「そうですよね⋯事件当時11歳で、本当に何にもわからなかったです。」

阿部「世の中はこっちの立場(犯罪加害者家族)に立ってないんですよね。(加害者と)関わりたくないから早く縁切りなよ、とそういうふうに言ってしまうわけですよ。」

麗華「そうですね。私もこの本『近親性交』ですごく印象的だったのは『世間は必ず裏切る』っていう文句。

それなのに日本では世間体が一番になる。うちの母もすごく世間体を気にするタイプだったんですけど今考えると「うちに世間体なんてあったっけ」(笑)私が1歳のときから強制捜査に入られて、オウム真理教で、事件があって、普通に見えるように学校に行きなさい、とか⋯そうやって言われて育ってるので私も弟たちに「普通に見えるようにしなさい」って言ってたんです。でもある時気がついて「うちってそもそもふつうじゃないわ」っていうことに気がついて楽になったんですけど⋯」

 

松本麗華の幸せとは

麗華「自分の心を大事にしないと幸せにはなれないなと思っていて、私の場合、形だけでも謝罪し、オウムと縁を切って一人立ちすれば幸せになれるとか、結婚すればいいとか、いろんなアドバイスを頂きました。でも自分の心に聞いたとき、父を悪しざまに言って幸せになれるのか、自分がしていないことで謝って幸せになれるのか、誤魔化して幸せになれるのかって思ったとき、『なれないな』って思いましたし、書籍『止まった時計』を出して10年たった今、本当に自分の気持ちを裏切らなくてよかった。気持ちをしっかり持ったことが良かったですね。」

阿部「それが、なかなか難しいですね。」

麗華「ものすごく、難しいですね。」

阿部「人間そんなに強くないから、そうしたある種の世間の心地よさもあると思うんですね。

自分で決めない、ある種個人を貫くということは常に決定を迫られることなので、それがもしかしたら苦痛だという、誰かについていきたいと言う人は沢山いるし、相談でもよくあるんですけど。

アメリカのテキサスで加害者家族のカンファレンスで、セッションしたとき、日本の加害者家族との違いをすごく感じました。向こうの人は『私はこうしたい』ってちゃんと自分の言葉で話す。

でも日本の人は主語がなくて、『どんな風に振る舞えば加害者家族として生きていけますか』って正解を求めるんです。

 

最初は割と世間的なアドバイスをしがちだったんですが、ある時からこれは間違いだなと気づいて、あなたはどうしたいですか?って聞き返すようになった。でも、あなたは?って聞き返す時に詰まってしまう人は沢山いるんですね。」

 

麗華「加害者家族で検索して色んなのを見るとまず定型的に『申し訳ない』って出てきて私もすごく悩んだ。

被害者家族のことを加害者家族は否応なしに考えてしまう。事件と向き合わざるを得ないですよね。

でも一般の方は『事件についてどう思いますか』ってあたかも私が、何も考えてないかのように聞いてきます。

でも、私としては加害者の家族が事件についてこう思っているって言わなくても、私は今孤立してて大変です、ってことをシンプルに、自分の今思っていることを語れるようになっていったらいいなと思うんですけど。

 

そこが非常に難しくて、まず前提に事件について理解しています、被害者の方について向き合っています、ということを言わないと聞いてすらくれないという空気があって、でも、それをしていくと加害者の家族が、『松本麗華がそうしてるからそうしないといけない』ってなっちゃうのは嫌だけど話を聞いて頂かないと、加害者の家族がどういう心境でいるかっていうことも理解して頂けない、っていう。このジレンマで今すごく悩んでいて⋯」

阿部「いやもうね、松本麗華さんは松本麗華さんでしか無いからね。もう加害者家族とかは二の次っていうか」

 

麗華「ありがとうございます」

阿部「私の場合加害者家族相談って言わないと相談こないから。」

加害者家族の主張『勝手に人生つなげんな!加害者とその周り、分けて欲しい!』

阿部「刑が長期化すればAさんBさんという個人になる。誰も一人加害者家族と常に一緒にいるわけではなくて。

あと大きなくくりで見れば国や会社なども同じで、不祥事があれば社員が加害者になることもある。

オウム真理教もそうですね。

「会社」や「家族」といった枠に個人を埋め込んでしまって良いのか、という問題ですね。」

麗華「オウム真理教の例で行くと⋯事件を知っていた人っていうのは⋯99%の信者が知らないんですよね。

殆どの人は仏教やヨガを信じて「人に良いことをしないといけない」と信心していたら事件が起きてしまった。事件後は騙されたと感じた人も多く、脱会しても職場に警察が来て仕事を失う、出家した人の家族も、結婚にまで影響が及び大変な思いをされました。

幼なじみも「子どもの頃に入っていただけ」と正直に話したら、婚約が破談になっちゃうんですよね。

最終的にその子は『もう私、言わない。あそこにいたことは私自身ではない。バレないように生きていく。』それ、おかしいと思うんですよね。その子は自分で選んだわけでもないし何もしたわけでもない。いわば被害者ですよね。でも、人を愛しても一緒になれない⋯子供の頃のルーツ⋯それを告白することすら許されない。他にも聞いていて、親が入信してて、とか。まず加害者と、加害者の周りってものが全く違うものだっていう、そこを分けて頂きたいなと思いますね。」

阿部「結婚ていうのも、当事者の問題なんですけど、日本の場合、家同士なんですよ結局。結婚式場行くと〇〇家と〇〇家と書いてあったりするんですから。ああいうのはもう古いと思いますし北欧なんかだと未婚で子供を産んでいる方はすごい多いし。まだ日本だと差別があるので制度の中から外れると色んな不利益があって⋯中々夫婦別姓だと認められてなくて。」

麗華「そうですね。」

加害者家族もまた社会から虐待されている構造

阿部「私は著者『近親性交』の中で家父長制、家制度がいかに個人をどれだけ蝕んできたか、っていうのは主張しているけど、今の世の中はなんか、逆の方に言っている感じ⋯」

麗華「どうなっていくのかな、って思いますけど、私のこちらの著者『加害者家族として生きて』(2025年)10月1日頃発売された新書なんですけど加害者家族って、構造的に虐待されているなと。もう、その立場ゆえに加害者家族自身も虐待の構造を作っている。

申し訳ない、とか幸せになっちゃいけないとか、生かしてもらっているだけでありがたいとか、思わないといけないって、思わされてるっていうのに気づいてそのことについて書かせて頂いた。構造的に社会全体が加害者家族を虐待していて役割が決められてる。」

阿部「そこに支援者が乗っからないというのは非常に大事なんですよ。『あなたはあなたでいいんですよ』というところに乗っからないっていうことは必要なんだけど中々これは簡単ではない。」

【】「私にかかわっているからオウムだ、と言われて差別される人がいる」

麗華「そうなんですよ⋯すごく辛いのは支援をしてくれた方が差別される。っていう。私にかかわっているから“オウム”だとか。「松本麗華の弁護したんでしょ?だから仕事断ります。」とかですね。

そういうことが起こってしまうと助けて頂くのも申し訳なく思っちゃうんですよね。私は私で生きていく、ていう風に思えなくなっちゃう⋯

だけどこの“虐待の構図”は崩していかなくちゃならない⋯まず私自身、強くならないといけないし、社会全体に築いて頂かないといけないんじゃないかと。

少なくとも加害者と加害者家族は違うし、加害者の家族を支援する人達は違う。そういう意味でいくと、阿部さんもけっこう差別されたりとか?」  

阿部「あんまり私、気にしてないんです。自分で(加害者支援)好きでやってるから私の場合。(仕事の依頼は)やめたきゃやめればいい。差別上等ですよ私。」(麗華氏笑)

麗華氏「そう思って下さればいいんですけど(笑)。そう思って下さってる方がいるかもわからず、色んな方の立場を奪ってしまって。もし私と関わってなかったらこの方はこういう風に生きられたんだろうなとかって想像すると胸が痛いんですよね。」

阿部「それは、気にしないことは、無理ですよね。でもそういう世の中の視点が変わっていくといいですね。」

麗華「そうですね。」

阿部「でもね、別に嫌いな人から嫌われたっていいし。好きな人から好かれたい。それだけ。」

衝撃ノンフィクション『近親性交』が明らかにした“家族神話”の最大タブー 著者・阿部恭子氏インタビュー「自分とは無縁の“異常な事象”と思わないでほしい」

https://www.news-postseven.com/archives/20250619_2047260.html?DETAIL#google_vignette

 

長塚洋監督ドキュメンタリー映画「それでも私は『Though Im his Daughter』」

https://www.iamhisdaughter.net/

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