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粉もん文化の危機 ― 倒産最多ペースが映す「誰のための政治か」

お好み焼き、たこ焼き、焼きそば――日本人にとって「粉もん」は庶民の食卓と祭りのにぎわいを彩ってきた。大阪を中心に根付いたこの文化が、いま静かに崩れ始めている。2025年1~7月の倒産件数は17件。前年同期比で3割増、15年間で最多ペースだという。

インバウンドや大阪万博で賑わう裏側で、小・零細規模の店は次々と店を畳んでいる。人件費高騰、光熱費上昇、そして小麦粉や油といった主要食材の値上げ。加えて「庶民の味」という文化的制約が、値上げを困難にする。数十円の価格調整ですら客足減少に直結し、経営を圧迫するのだ。

倒産ラッシュの構造的背景

今回の倒産増加には三つの要因が絡んでいる。

第1に、物価高と円安の直撃である。輸入依存度の高い小麦や油は高止まりし、店側は仕入れ価格の上昇を吸収できない。

第2に、人件費・光熱費の増大。人手不足によりアルバイト賃金は上がり、電気・ガス代も経営を圧迫する。

第3に、値上げできない文化的特性。お好み焼きやたこ焼きは「安いからこそ皆で楽しめる」食べ物である。だからこそ強気の価格転嫁ができず、逆に経営体力を削る結果となる。

加えて、SNS発信やインバウンド対応といった新しい販促手法に弱いことも、小規模店舗をさらに追い込んでいる。

打開のための処方箋

では、このまま粉もん文化は衰退していくしかないのか。改善の道筋はある。

食材価格への直接補助:輸入依存食材の高騰には、一時的な国の補助金制度を設け、最低限のコスト安定を図るべきだ。

中小事業者への減税・金融支援:消費税の軽減や支払い猶予、低利融資の拡充によって、資金繰りに喘ぐ店舗を下支えする。

デジタル人材とのマッチング:SNSやECに精通した若者を地域の店と結びつけ、新規顧客の開拓を支援する。

地域資源との連動:祭りや観光と一体化させ、粉もんを地域経済の「看板商品」として再発信していく。

粉もんは単なる食べ物ではなく、観光資源であり地域の誇りだ。その存続は、地域経済の存続と表裏一体なのである。

消費税減税に踏み込めない政治

しかし問題は、こうした改善策を政府が本気で後押しするかどうかだ。物価高の中で最も有効な政策の一つは消費税減税だろう。ところが政府は一向に動かない。

理由は明白だ。第一に、社会保障費に直結する消費税を「財源がない」として手放せない財政硬直性。第二に、経団連をはじめとする財界との癒着構造だ。財界が望むのは法人税減税や投資支援であり、消費税減税は優先度が低い。政府はその声を無視できない。

その一方で、アメリカには80兆円規模の投資を約束し、防衛費増額では武器購入を迅速に決めていく。国内の庶民生活支援には「財源がない」と言い、国外や財界への資金供与は躊躇しない。ここに日本政治の優先順位が端的に表れている。

誰のための政府か

「粉もん」倒産の増加は、単なる飲食業界のニュースではない。国民の生活に密着した文化が失われつつあることを示す社会の警鐘だ。

政府は経済界とアメリカに気を配るばかりで、庶民の食卓に目を向けない。このままでは、「誰のための政府なのか」という疑念はさらに強まるだろう。

もし粉もん文化が衰退すれば、地域社会のにぎわいも観光資源も失われる。政府が守るべきは、遠い外国の軍需産業でも、経団連の利潤でもない。目の前にいる生活者であるはずだ。

まとめ

粉もんは、ただの小麦粉料理ではない。戦後の復興を支え、人々の胃袋と心を満たしてきた文化そのものである。その文化が経済構造の歪みの中で消えようとしている。

「誰のための政治か」――粉もんの危機は、この国の政治と経済のあり方を突きつけている。庶民の暮らしに光を当てられるかどうかが、日本社会の未来を決める分岐点なのだ。

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