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AI恋活アプリと人口削減論──「人と関わらない社会」の行き着く先AIが恋人になる時代

かつて恋愛や結婚は「自然に訪れる人生の節目」と考えられていた。しかし2020年代に入り、そうした常識は大きく揺らいでいる。いま静かに広がっているのは「AIとの恋愛体験」だ。

2023年に登場した「LOVERSE(ラヴァース)」はその象徴だ。数千体の生成AIキャラクターから「恋人」を選び、メッセージを交わす。相手は職業や趣味に沿ってスケジュールを持ち、忙しいときには返信が来ない。あえて「人間らしさ」を再現することで、ユーザーに「本物に近い恋愛感覚」を与える仕組みだ。

利用者層には特徴がある。運営会社の調査では、40代以上の男性や既婚者の利用が多いという。現実社会で恋愛や交流の機会を失った人々が、AIに心を預け始めているのだ。

若者の性と孤立の拡大

一方で、若年層では「人との恋愛そのもの」を経験せず大人になる人が増えている。国立社会保障・人口問題研究所などの調査によれば、30代男性の約4割、同年代女性の約2割が性交未経験。過去数十年で最も高い水準にある。

SNSやYouTubeなどのデジタル娯楽の普及、恋愛失敗を恐れる風潮、そして経済的不安が背景にある。「人と深く関わらなくても生きていける」というライフスタイルが社会に広がる中で、恋愛や結婚はリスクやコストとして敬遠されるようになっている。

これは単なる個人の選択の問題ではない。社会全体で出生率を押し下げ、人口構造を大きく変える現象へとつながっている。

人口は少ない方がよい」という思想

実は、この人口減少を肯定的に捉える声は少なくない。小泉進次郎氏や参政党の神谷宗幣氏らは「人口は減った方が持続可能」と語っている。

世界でも同様の論調がある。環境問題や資源制約を理由に「人間の数を減らすべきだ」という主張は、1970年代から国際会議や一部シンクタンクで繰り返されてきた。その象徴的な文献が、ジョン・P・ホルドリンらによる『エコサイエンス』である。

『エコサイエンス』の衝撃

『Ecoscience: Population, Resources, Environment』(1977)は、当時ハーバード大学の教授で後にオバマ政権の科学技術担当補佐官を務めたジョン・P・ホルドリン、そして人口学者ポール・エーリッヒ夫妻が共著した大部の学術書だ。

この書物は人口増加を「地球環境の最大の脅威」と位置づけ、人口を10億人規模に制限すべきだと主張した。その手段として挙げられたのは、不妊剤を飲料水に混入する、強制中絶や不妊手術を合法化する、体内インプラントで出生を管理するなど、現在の倫理観からすればきわめて過激な方策であった。

もちろん、これらの提案はすぐに政策化されることはなかったが、重要なのは「科学の権威が、人口削減を正当な議論の対象として示した」という事実だ。ホルドリンは後年「極端な想定を列挙したにすぎない」と釈明したが、同書は今もなお「人口削減計画のバイブル」として引用され続けている。

日本の「ムーンショット計画」との接点

では、日本はどうか。2019年、内閣府は「ムーンショット型研究開発制度」を打ち出した。ここには7つの目標が掲げられているが、そのひとつが「2050年までに人が身体・脳・空間・時間の制約から解放される社会を実現」というものだ。

具体的には、脳とAIを接続する技術、遠隔で身体を操作する技術、さらには意識のデジタル化といった研究開発が進められている。内閣府の資料には「人類が地球環境問題や少子高齢化を乗り越えるために不可欠」との説明があるが、その裏側には「人口減少を前提とした未来社会」を構想していることが透けて見える。

つまり、AI恋愛アプリのように「人と人が関わらなくても満たされる仕組み」が社会に浸透することは、人口削減を自然に実現する装置ともなり得るのだ。

トランスヒューマニズムと「選ばれる人間」

この方向性はトランスヒューマニズムとも重なる。シリコンバレーの思想家や企業家たちは、人間の肉体をAIやバイオ技術で拡張し、知能や寿命を飛躍的に伸ばす未来を描いている。しかしそれは同時に、「アップデートに参加できる人間」と「取り残される人間」との分断を意味する。

もし社会が「人口は少ないほうがよい」という論理を受け入れれば、後者の人々は「不要」とされかねない。恋愛や家族といった社会の基盤は崩れ、テクノロジーによって選別された人類だけが次の時代を担うというシナリオすら現実味を帯びてくる。

AI恋愛の光と影

AI恋愛アプリは孤独な人々に救いを与える一方で、人間同士の関係性を弱め、出生率の低下をさらに進める可能性がある。そこにホルドリン的な人口削減思想、そして「2050年のムーンショット社会」が重なったとき、私たちは「恋愛や出産は不要」とする新しい常識を受け入れてしまうかもしれない。

恋愛や家族は単なる娯楽ではない。それは社会の再生産を支える根幹であり、人間が人間であることの証でもある。テクノロジーや政策がそこに介入しはじめたとき、社会は不可逆の変化に向かうだろう。

結論──管理される恋愛と人口の未来

「AI恋人」との関係が普及する未来は決して空想ではない。
若者の性交未経験率の増加、人と関わらない文化、人口削減を肯定する論調、そして『エコサイエンス』やムーンショット計画。これらはすべて一本の線でつながっている。

もし私たちが「人間は少ない方がよい」という思想を受け入れれば、AI恋愛は単なる娯楽ではなく、「人口管理の装置」と化すだろう。

人を好きになることまでが社会に管理される未来を、私たちは望むのか。いま考えるべき時に来ている。
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