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【無罪確定者DNA保管、高裁も国に抹消命令 みだりにデータ利用させない「立法化必要」】

2024年8月30日、原告の無罪判決が確定したあとの、警察庁が保管するDNA型や指紋、顔写真データの抹消などを求めた訴訟の控訴審判決が、名古屋高裁(長谷川恭弘裁判長)で言い渡された。
「犯罪自体を認めない判決が確定しており、DNA型などをデータベースに残す必要がないのは明らかだ」
データ抹消を命じた一審・名古屋地裁判決を支持し、国の控訴を棄却した。

さらにデータが国家公安委員会規則などの内規で運用され、抹消規定などが法制化されていない現状を問題視した。
長谷川恭弘裁判長は
「みだりに保有され、利用されない憲法上の自由の保障を制度的に担保するための立法化こそが必要だ」と指摘。

しかし警察庁は、法整備については乗り気ではない見解を示した。

〈事は濡れ衣逮捕から始まった〉
名古屋市の薬剤師、奥田恭正さん(67歳)は2016年、10月、自宅前のマンション建設反対の抗議中に、現場監督を突き飛ばし、走行中のダンプに接触させたという疑いをかけられすぐさま現行犯逮捕。その際にDNA型や指紋などを採取された。暴行罪で起訴されたが名古屋地裁は2018年2月、防犯カメラの映像などから暴行の事実を認める十分な証拠はないとして無罪になった経緯が背景にある。

〈逮捕前の私に戻してほしい〉
奥田さんは無罪が確定してもデータは破棄されず、「犯罪者予備軍扱い」だと感じる。逮捕前の状態に戻してほしいと、2018年7月、捜査で採取されたDNA型などのデータベースからの抹消を求め国に提訴し、2022年1月一審判決では各データの抹消が命じられた。

一審判決は、私生活の自由などが定められた憲法13条に基づき、DNA型などは秘匿性の高さから「公権力からみだりに取得や利用されない自由が保障される」と判断された。

長谷川裁判長は「みだりに保有されない自由」も保障されると判示した。

運用に厳格な規制がなければ「恣意(しい)的に悪用・誤用されて誤認逮捕などの危険が常に生じうる」と指摘。

その上で、国家公安委員会規則などについて

「内部的な規制にとどまり、捜査機関による恣意的な運用は防げない」とし、無罪が確定した奥田さんのデータを保管していることは

「まさに恣意的な判断に基づくものだ」と批判し、具体的な必要性がないまま保管し続けることは憲法に基づく人格権の侵害にあたると結論づけた。

原告の奥田さんは9月13日、同市内で記者会見し、上告しないことを明らかにした。

国も12日に上告しない意向を示しており、データの抹消命令は確定する見通し。

奥田さん側は一、二審で棄却された国や愛知県への賠償責任を求め、上告を検討していた。

警察庁の最高幹部、露木康浩長官(61歳)は9月12日の定例記者会見で「直ちに立法などの措置が必要になるとまでは考えていない」と、法整備については現時点では否定的であった。

☆参考サイト☆
二審も男性のDNA型抹消命じる 無罪確定、名古屋高裁
無罪男性のDNA抹消訴訟 原告上告せず、高裁判決確定へ 名古屋
無罪男性のDNA抹消請求、国側の控訴棄却  名古屋高裁、1審を支持
「手錠をかけろ」 自宅前に15階建てマンション建設 抗議中に逮捕
無罪男性のDNA抹消命令、名地裁判決 警察庁データベース

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