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保険大手MS&AD、厚労省「医師法違反の恐れ」指摘の「がんリスク検査」を黙認 プリベントメディカルの違法疑いサービスを販売継続、保険会社の倫理観はどこへ

保険大手のMS&ADインシュアランスグループホールディングス(東証プライム:8725、以下MS&AD)のグループ企業が、厚生労働省から「医師法違反の恐れがある」と指摘された検査サービスを販売し続けていることが分かった。

同社株主が法令遵守を問う公開質問状を提出したが、MS&ADは回答を控える姿勢を示している。

問題となっているのは、あいおいニッセイ同和損害保険(以下、あいおいニッセイ同和損保)が2023年1月から取り扱う「がんリスク検査サポート」(提供:プリベントメディカル株式会社、以下プリベントメディカル)で、遺伝子検査の結果をもとに「A評価」や「リスク高」といった形でがん罹患の可能性を個別に通知する仕組みとなっている。

しかし、こうした罹患可能性の提示は医師法第17条が禁じる「医業」に該当する恐れがあるとして、国会審議や厚労省の見解でたびたび問題視されてきた。

厚労省は2025年3月に改定した「健康寿命延伸産業分野における新事業活動のガイドライン」で、民間事業者による罹患可能性の提示や診断行為の禁止、医学的・科学的根拠の明示義務、医療との誤認を防ぐための表示義務の三点を明確に定めており、プリベントメディカルが提供し、あいおいニッセイ同和損保が販売するサービスは、これらの基準に抵触する可能性があるとの指摘が出ている。

厚労省関係者は「ガイドラインは法令遵守の最低ラインであり、違反は消費者保護の観点から重大」と話す。

MS&ADの株主である少数株ドットコム株式会は10月上旬、同社取締役会宛てに公開質問状を提出し、「保険会社が法令違反の疑いがあるサービスを販売することは、企業統治の根幹に関わる」と指摘したうえで、罹患可能性の表現使用の有無、法的検証の実施状況、ガイドライン遵守の方法、プリベントメディカルとの契約時のデューデリジェンス内容、法令違反が認められた場合の経営責任と対応方針の五点について説明を求めた。

これに対しMS&AD側は「公開質問状は受領し、社内で検討のうえ適切に判断した結果、ご回答を差し控えさせていただきます」との回答を示し、法的根拠やガイドライン遵守状況、デューデリジェンスの内容などは開示していない。

少数株ドットコムの会長、山中裕氏は「保険会社が国民の生命・健康に関わるサービスで法令違反の疑いを放置することは、株主利益を損ない、社会的信頼を失う」とコメントしている。

保険会社は病気や事故への備えを通じて「安心」を提供することを使命としているが、厚労省が「違法の恐れがある」とするサービスを販売し続ける行為や、株主からの質問への回答を拒む姿勢には、業界内外から懸念の声が上がっている。

専門家の間では、利用者が「がんリスク」を通知されることで不安を抱く可能性や、医学的根拠が不十分な評価が過剰受診を招くおそれ、保険会社が健康支援を名目に収益を得る構造の妥当性など、消費者保護と企業倫理の両面から対応を求める意見が出ている。

MS&ADは国内損保3メガの一角であり、社会的責任の大きい企業として知られる。今回の事案は、一企業の問題にとどまらず、保険業界全体のガバナンスと倫理観を問うものとなっている。

さくらフィナンシャルニュース

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