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【経済評論 「おこめ券」論争の正体は】

支援の目的がズレて見える政策

物価高対策は、本来「家計の痛みを早く・確実に・無駄なく和らげる」ためのものだ。ところが政府が推奨する「おこめ券」は、その理想から少し外れて見える。だから自治体が「配布しない」と表明する動きが相次いでいるのだ。

一言でいうと、おこめ券は生活支援を掲げながら、配るだけでコストと手間が膨らみ、しかも使い勝手にクセがある。ここが最大の弱点だ。

配る前から支援が目減りする設計

1枚500円のおこめ券でも、実際にコメと交換できる価値が440円分にとどまるケースがあるとされる。差額の60円(12%相当)が手数料として発行側に入る構造だ。

ここで起きるのは、単なる会計上の話ではなく、支援は本来、受給者の手元にできるだけ多く届くべきであるにも関わらず受給者に届く前に一定割合が消る。これは致命的だ。自治体が「現金振込のほうがいい」と言い出すのも当然である。

また券は、印刷して、封入して、発送して、届かなければ再送して、使い方の問い合わせも受ける。現金振込より工程が増えやすい。物価高対策はスピード勝負だ。支援が遅れれば遅れるほど、意味は薄れる。しかも年末は自治体の繁忙期であり急ぐ支援に重い手段を選ぶ矛盾が生まれる。

政府側は「おこめ券はコメしか買えないわけではない」と説明する。つまり加盟店が認めた商品を買える場合もある、という趣旨だ。ただ、ここが難しい。店によってOK/NGが分かれるからだ。住んでいる地域によって使える店の密度が違う。何に使えるかが人によって体感が変わる。

支援策は「誰でも直感的に使える」ほど強い。逆に言えば、分かりにくい支援は、使われない支援になりがちだ。米価の高止まり、需給の見通し、「米余り懸念」こうした背景が語られるほど、「おこめ券」は生活支援というより、米の消費を下支えする政策に見えやすい。

もちろん、米の消費喚起自体が悪いと言いたいわけではない。問題は、生活支援の看板でやると、どうしてもこう言われてしまうことだ。結局、誰を助ける施策なのか?

自治体が敬遠するのは、この疑念を背負いたくないからでもある。ここまでの話をまとめると、おこめ券はこう評価されやすい。

・配る前から目減りして見える
・手間とコストがかさむ
・使い勝手に地域差が出る
・生活支援なのに政策目的がブレて見える

最初から、より汎用性の高い商品券(地域商品券や共通券)を使えば良いのではないか?

汎用商品券なら、使える店が広く、家計の自由度が高い「特定品目の消費誘導」に見えにくい。地域経済にも回しやすい。設計次第でプレミアム付与などの調整も可能つまり、生活支援としての筋が通る。

物価高対策で一番大事なのは、正しさより届き方だ。速く、分かりやすく、無駄が少なく、誰でも使える。その条件を満たすなら、「汎用性の高い商品券」で十分である。

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