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【高市政権の政労使会議と「賃上げ」の虚構】― 消費税は下げず、法人税は下げる。内部留保は積み上がり続ける構造的問題 ―

■1 「賃上げが定着している」という政府の認識は本当か

高市政権下で初めてとなる政労使会議が開かれ、高市総理は「物価上昇に負けないベースアップ」の実施を経済界に求めた。

「30年以上ぶりの5%超の賃上げを確かなものにしたい」

この言葉を聞くと、日本はようやく賃金停滞から脱却しつつあるように見える。しかし、実態を丁寧に見ていくと、この「賃上げムード」がいかに脆い基盤の上に立っているかが分かる。むしろ、政府は賃上げを“お願い”する一方で、賃上げを阻害する根本要因を放置しており、その社会構造には触れようとしていない。

その象徴こそが、
①消費税減税を避け続けること
②法人税は下げ、企業内部留保は膨張
③日銀のETF買い・GPIF依存で株価だけが上昇
④中小企業の価格転嫁は進まず、物価高が家計を圧迫
という、日本経済の「歪み」の積み重ねである。

政労使会議は企画としては立派に見えるが、その裏側にある構造的問題を直視しなければ、どれだけ賃上げを呼びかけても、長期的な改善にはつながらない。

■2 政府が「消費税減税」を避け続ける理由
― その背景にある“経団連への忖度”と“輸出戻し税”
●消費税は「逆進性」が最も強い税

世界各国がインフレ局面で消費税減税を行うなか、日本政府は一貫して「消費税減税は考えていない」と断言してきた。

なぜか。

経済学的には、インフレ対策としてもっとも即効性があるのは
①消費税減税(物価抑制)
②低所得者への直接給付(需要の底支え)
である。しかし政府は、繰り返し消費税に触れようとしない。

●輸出大企業には“実質的な補助金”として機能

その背景には、ほとんど知られていないが非常に重要な仕組みがある。

それが 「輸出戻し税」 だ。

消費税は国内の最終消費に課税される税であるため、トヨタなど輸出主体の大企業は輸出時に消費税を払う必要がない。むしろ、
仕入れ時に払った消費税が丸ごと戻る。

これが年に数千億円規模であり、実質的に「大企業への補助金」として機能する。

つまり、消費税減税を行えば、

→ 輸出大企業への“戻し税”も減る
= 大企業へ流れ込む金額が減る

だから経団連は消費税減税に反対し、政府もそれを忖度する。

結果として、消費税は廃止どころか維持され続け、庶民の生活コストだけが上昇していく。

■3 法人税は安倍政権から下がり続け、高市政権もその延長線
一方で、法人税はどうか。

驚くべきことに、安倍政権以降、法人税率は段階的に引き下げられてきた。

2012年:実効税率 37% →
2020年:29~30%まで低下

世界的に見ても、日本の法人税負担はすでに“競争力を損なう水準”ではない。それにもかかわらず、政治の優先順位は法人減税の維持に置かれ続けている。

高市政権も、「企業の成長力強化」を名目に法人減税路線を継承する見通しだ。

しかし、企業が成長したとしても、その果実(利益)が労働者の賃金に回るとは限らない。それを証明するのが次のデータだ。

■4 内部留保は史上最大。賃金ではなく“企業内部”に溜まり続ける金

財務省の統計によれば、

企業の内部留保は2023年に過去最高の約550兆円に到達。

安倍政権のアベノミクス以降、異次元緩和で企業収益が押し上げられた結果、内部留保は右肩上がりで増え続けている。

しかし、なぜこのお金は賃金に回らないのか。

理由は簡単だ。

→日本の企業は将来不安が強く、投資や賃金よりも“貯め込む”ことを優先する
→労働者の交渉力が弱く、経営側に利益を再分配する圧力が働かない
→ 政府は企業に「賃上げをお願い」するだけで、再分配の仕組みを作らない

政府がどれだけ「賃上げをお願いします」と言っても、
企業は“お願いベース”では動かない。

制度による強制力が必要なのだ。

■5 日銀のETF買い・GPIFの株買いという“株価バブルの土台”

さらに問題なのは、賃金が上がっているように見える背景に、
株価を人工的に押し上げている特殊政策
があることだ。

●日銀のETF買い

日銀は世界でも例がない規模で株式ETFを購入し、現在では
日銀は日本株の最大株主
となっている。

これは、株価を安定させ、企業経営を支えるという表向きの目的があるが、裏を返せば

→株価が“人為的”に高く保たれている
→大企業の時価総額が上がる
→経営者報酬は株価連動で上昇
→富裕層・外国人投資家の利益が増える
という構図だ。

●GPIF(年金)の株式運用比率拡大

加えて、GPIFの株式運用比率も大幅に引き上げられた。

つまり、
①日銀が株を買う
②GPIFが株を買う
= 日本株は下がりにくい構造

その結果生まれるのが、
→「賃上げできているように見せる」政府の自画自賛
→ 実態は家計が苦しくなる「物価高」状態

という“二重の歪み”である。
株価は上がっているのに、庶民の生活は苦しい。
これは健全な経済ではなく、政策によって作られた「株価バブル」だ。

■6 中小企業の価格転嫁は進まず、賃上げ余力は乏しい

高市総理は「価格転嫁を進める」と言うが、これも言うほど簡単ではない。

中小企業庁の調査では、

価格転嫁が十分にできている中小企業は3割以下

とされている。

つまり、大企業は原材料価格上昇を納入企業に押し付け、中小企業は利益を圧縮され続ける。
中小企業の利益率はとっくに限界に近く、賃上げに回す余力はほとんどない。

にもかかわらず、政府は中小企業に対して「賃上げを」と要請する。

これは構造問題であり、表面的に「賃上げを」と言うだけでは改善されない。

■7 高市政権の「賃上げ」は持続可能なのか

ここまでを整理すると、次のような構造図が浮かび上がる。

【日本経済が抱える構造的問題】

●消費税減税を避け、庶民の生活コストは高止まり
●法人税は下げ続け、企業は内部留保を膨張
●輸出戻し税は大企業の利益を押し上げる
●日銀とGPIFの株買いで株価だけが上がる
●中小企業は価格転嫁できず賃上げ余力なし
●労働者の可処分所得は減少
●実質賃金はマイナスが続く

賃上げを持続的に実現するために必要なのは、
①消費税減税
②法人税の適正化
③内部留保課税などの本格的再分配政策
④価格転嫁の強制ルール化
⑤労働者の交渉力強化(欧州レベルの制度)
である。

しかし、これらにはすべて「経団連の反対」がつきまとう。
高市政権は経団連と歩調を合わせているため、根本改革には踏み込めない。

■8 賃上げの持続のために本当に必要なこと
― 国内消費を底上げする“当たり前の政策”

政府が本気で賃上げを望むのであれば、以下の政策が不可欠だ。

■1 消費税を5%に戻す(もしくは一時的に0%)

物価高の中で最も即効性がある。
中小企業の値下げ圧力も軽減される。

■2 法人税減税の見直し

大企業は十分な利益を持ち、世界でも屈指の内部留保がある。
税負担を適正に戻すことは国際的にも妥当。

■3 内部留保課税(もしくは賃上げ税制の強化)

賃上げ・設備投資しない企業には一定の課税を行うことで、再分配を促す。

■4 価格転嫁の“義務化”

弱い立場の中小企業が交渉できる制度が必須。
欧州では当たり前に行われている。

■5 労働組合の交渉力を欧州レベルに引き上げる

日本の労働組合加入率は16%、欧州は50%超。
これでは賃金は上がらない。

■9 「賃上げ」は政治の意志があれば可能

しかし今の方向性では難しい

結局のところ、日本で賃金が上がらない理由は単純だ。

政治が本気で賃金を上げる政策を行っていない。

表向きは「賃上げを」と言っているが、
裏側では

→法人税を下げ
→消費税を維持し
→大企業優遇の税制を守り
→株価を支える政策を継続し

大企業が喜ぶ政策を優先している。

これでは、賃上げは定着するはずがない。

■10 結論
高市政権の「賃上げ」には構造的限界がある

本当にやるべきことをやっていない

政労使会議のニュースだけを見れば、「賃上げが進んでいる」ように見える。
しかし実態は違う。

日本が直面している問題は、単なるインフレや一時的な景気問題ではなく、
構造的な“再分配の失敗”
である。

にもかかわらず、政府はそこにメスを入れず、表面的なメッセージだけを打ち出す。

その象徴が、
消費税減税を避けつつ、法人税は下げ続けるという二重基準
だ。

日本が本当に賃上げを実現するためには、
政府が“やるべきこと”をやる覚悟が必要だ。

それを避け続ける限り、
どれだけ政労使会議を開こうと、
どれだけ経団連に「お願い」をしても、
賃上げは持続しない。

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