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全保連株式会社、家賃滞納時の「保証事務手数料」条項をめぐり消費者機構日本から差止請求訴訟を提起される。

2025年8月7日、特定非営利活動法人消費者機構日本(以下「消費者機構日本」)は、家賃債務保証サービスを手がける大手企業・全保連株式会社(本店所在地:沖縄県那覇市、代表取締役:迫幸治氏)を被告として、東京地方裁判所に差止請求訴訟を提起した。

訴訟の内容

全保連は、賃借人が家賃を滞納した際に、物件所有者や管理会社に対して立て替えて支払う、いわゆる代位弁済を行う家賃債務保証サービスを展開している。同社は賃借人との間で締結する「賃貸借保証委託契約」に基づき、契約時および更新時に保証委託料を受領している一方で、家賃滞納が発生した場合には、未払い家賃分の求償に加えて「保証事務手数料」(代位弁済1回につき2,700円、税込で約2,970円)を別途請求する条項を設けている。

消費者機構日本は、この条項について消費者契約法に違反し無効であると主張し、以下の事項の差止めを求めている。

  1. 消費者に対して、「賃貸借保証委託契約」に基づき家賃滞納時に保証事務手数料を請求し得るとの意思表示を行わないこと
  2. 当該意思表示が記載された契約書その他の文書を破棄すること
  3. 上記1および2の内容を従業員に周知し、徹底させるための措置を講じること

なお、訴訟物の価額は160万円とされ、訴訟費用は被告負担とすること、また仮執行宣言を付すことも求められている。

消費者側の主張の要点

第一に、消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)への違反が指摘されている。すでに保証委託料を受け取っているにもかかわらず、滞納時の確認作業・代位弁済・求償といった事務処理の対価として一律2,700円(税別)を別途課すことは、民法上認められる求償の範囲を超え、消費者の負担を不当に重くするものであるという。わずかな期間の遅延であっても消費者にとって負担が大きく、結果として被告にとって安定した収益源となっている点も問題視されている。

第二に、消費者契約法9条1項2号(損害賠償額の予定・違約金条項の制限)への違反も主張されている。この保証事務手数料は実質的に遅延損害金としての性質を持ち、法定上限である年14.6%を超える結果となる場合があるという。具体例として、家賃5万円について数日間の遅延があった場合でも2,970円が請求され、これを年率換算すると実質年利73%を超えるケースもあると指摘されている。

提訴までの経緯

まず、消費者から苦情が寄せられたことが契機となった。2024年4月、消費者機構日本は全保連に対して質問書を送付した。同年10月には、消費者契約法違反を指摘した上で是正を申し入れた。さらに2025年7月15日には、消費者契約法41条に基づく差止請求書を送付し、これが被告に到達したことも確認されている。しかし被告側による是正が行われなかったため、最終的に提訴に至った。

なお、全保連側は事前の回答において、「保証事務手数料は賃貸借保証委託契約に基づく別個の事務に対する対価であり、損害賠償の予定や違約金には該当しない」との見解を示していた。

背景と今後の影響

全保連は東京証券取引所スタンダード市場に上場している企業であり、家賃債務保証業界では大手の一角を占めている。同社が提出している有価証券届出書においても、保証事務手数料は安定的な収益の一部として記載されている。本訴訟は、同社のみならず業界全体の契約条項のあり方にも影響を及ぼす可能性があり、消費者保護の観点から注目を集めている。

2026年6月現在、本訴訟は進行中であり、判決や和解等の進展があれば、今後随時情報が更新される見込みである。

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