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【特集】高市政権は誰のための政治をしているのか                 消費税減税、官房機密費、対米忖度、軍拡増税、改憲、                そして参政党という「補完勢力」問題

(さくらフィナンシャルニュース編集部)

序章|「国民生活を守る政治」のはずが、なぜこんなに息苦しいのか

いまの高市政権に対して、多くの国民が感じている違和感は、ひと言でいえばこれだろう。

口では国民生活を語る。だが、実際に進んでいるのは、生活支援よりも権力の強化ではないか。

物価高が続き、実質賃金は弱く、家計は苦しい。

本来であれば、国会のど真ん中で徹底的に議論されるべきは、消費税減税、社会保障の立て直し、可処分所得の回復である。

ところが実際には、高市政権は消費税減税の議論を「社会保障国民会議」という枠組みに移し、そこで一定の共通理解を持つ政党だけで先に制度設計を進めようとしている。しかもその会議には、参政党や共産党には参加の呼びかけがなかったことが報じられ、野党側から「なぜ国会でやらないのか」「排除ではないか」と批判が噴き出した。

一方で、衆院解散前には官房機密費の巨額支出が報じられた。

さらに外交では、ロシアには「国際法違反」と強い言葉を使う一方で、米国・イスラエルによるイラン攻撃には「法的評価は控える」と答弁している。防衛増税は2027年1月から所得税1%上乗せの方向で進み、選挙後には改憲や安全保障強化への意欲も改めて示された。

そしてここに、もう一つ重要な論点がある。

それが参政党は本当に「反自民」なのか、それとも結果として自民党政権を支える補完勢力なのかという問題である。

本稿では、この点を感情論ではなく、今起きている具体的な政治の流れから検証していきたい。

第1章|消費税減税は「国会」でやるべき話ではないのか

高市首相は、食料品の消費税率を2年間ゼロにし、その後は給付付き税額控除へつなげる構想を掲げ、その議論の場として「社会保障国民会議」を立ち上げた。ロイターやFNN、毎日新聞の報道によれば、この会議は超党派を掲げながらも、実際には参加条件や呼びかけの対象に偏りがあり、野党の側から強い不満が出ている。

ここでまず押さえるべきなのは、消費税は国家財政と国民生活に直結する超重要テーマであり、本来は国会で真正面から審議すべきものだということだ。

社会保障の財源をどうするのか。

食料品ゼロ税率はいつまでなのか。

給付付き税額控除はどの所得層にどの程度効くのか。

自治体や事業者の事務負担はどうするのか。

これらは本来、公開の国会審議で、与野党が国民の前でぶつけ合うべき論点である。

ところが高市政権は、先に「一定の共通理解」を持つ党だけで枠組みを作ろうとしているように見える。FNNは、給付付き税額控除への賛同が参加条件になっていると報じ、参政党については参加意欲を示していたにもかかわらず、首相側から呼びかけがなかったと伝えている。毎日新聞も、参政党や共産党に呼びかけがなかったことに野党側が反発したと報じた。

この構図から出てくる批判は明快である。

「減税をやる・やらない以前に、議論の入口から政党を選別しているのではないか」ということだ。

しかも、政権側は最終的には法案を国会に出すから問題ない、という趣旨の説明をしている。だが、それでは順番が逆だ。国民生活に直結する大問題は、最初から国会でやるべきである。議論の骨格を政府主導の会議体で先に固め、あとから国会に持ち込むなら、それは「国会で決める政治」ではなく、「国会に追認させる政治」に近い。

つまり、消費税減税が進まないとすれば、その責任を「減税派がまとまらないから」などと野党一般に押し付けるのはフェアではない。

少なくとも今回の国民会議の運営を見る限り、減税論議を国会の全面審議に乗せず、参加政党を選別した政権側に大きな責任があると言うべきだ。

第2章|参政党は排除されたのか、それとも利用されているのか

ここで出てくるのが参政党の位置づけである。

今回、参政党は国民会議に呼ばれなかった。神谷代表は「我々は呼ばれていない」「420万人の声を無視するのか」と反発している。これは形式的には、たしかに「排除された」側のように見える。

だが、問題はそこだけではない。

ロイターは2025年10月、高市氏が自民党総裁に選ばれた際、参政党が「政策が近く、期待をもって受け止めている」とする声明を出したと報じた。また2026年1月のロイター記事では、神谷代表自身が「自民党と政策の方向性は似ている」と語る一方で、「今回の選挙では自民党とガチンコで戦いたい」と述べ、高市氏のやりたい政策を外から圧力をかけて実現させる考えも示している。

ここが極めて重要だ。

参政党は、自民党と違うと言う。

しかし同時に、自ら「政策の方向性は似ている」と認めている。

しかも高市氏に近い政策を、外から圧力をかけて進めると語っている。

これをどう見るか。

参政党の支持者から見れば、「自民党ではぬるいから、もっと右から圧力をかける存在」なのかもしれない。

しかし別の角度から見れば、それは自民党政治を止める存在ではなく、むしろ右側から補強する存在にも見える。

今回の消費税国民会議で参政党が外されたことは事実だ。

だが、そのことだけで「参政党は反自民だ」と結論づけるのは早計である。

なぜなら、消費税をめぐって対立している場面があっても、安全保障、情報機能強化、国家観、改憲、スパイ防止関連法制といった別の主要分野では、両者の距離はむしろ近いからだ。

つまり参政党は、局所的には自民党とぶつかる。

だが大きな国家像の部分では、自民党と同じ方向を向いている。

その意味で、参政党は「反自民」に見えて、実際には自民党の補完勢力ではないのかという疑問は、十分に提起する価値がある。

第3章|官房機密費1億円超――「説明できない金」が選挙前に動く異常さ

高市政権への不信を深めているもう一つの論点が、官房機密費である。

しんぶん赤旗は、入手した「政策推進費受払簿」に基づき、2026年1月5日に木原官房長官へ1億950万円の政策推進費が支出されたと報じた。記事によれば、これは過去13年で1月としては平均を大きく上回り、歴代でも2番目に多い水準だったという。さらに政策推進費は、官房長官に渡った時点で支出完了となり、個別の使途説明や領収書が不要とされる、最もブラックボックス性の強い官房機密費だとされる。

ここで注意したいのは、現時点で違法流用が確定したわけではないということだ。

この点は慎重に言わなければならない。

しかし同時に、政治的・倫理的な問題は極めて大きい。

なぜなら、衆院解散が検討されていた時期に、説明不能な巨額資金が官房長官に渡っているからだ。国民に負担増や増税を求める政権が、自分たちの中枢のカネについては「詳細は言えない」で済ませる。これで納得しろというのは無理がある。

民主主義で重要なのは、「違法かどうか」だけではない。

疑われるような運用をしていないか。説明責任を果たしているか。

そこが問われる。

生活が苦しい国民に対しては「財源が必要だ」と説き、他方で政権中枢の資金の流れは見えない。

この二重構造こそが、政治不信の根っこにある。

第4章|ロシアには「国際法違反」、米国とイスラエルには「法的評価を控える」

外交面でも、高市政権のダブルスタンダードは目立つ。

毎日新聞によれば、2026年3月2日の衆院予算委員会で、米国のイラン攻撃が国際法違反ではないかと問われた高市首相は、「法的評価は控える」と答弁した。一方、小泉防衛相は3月1日の記者会見で、米軍行動を支持するかどうか問われると、「イランによる核兵器開発は決して許されません」と述べるにとどめた。つまり両者とも、米国・イスラエルの軍事行動をロシアのときのように明快に「国際法違反」とは言わなかった。

これはなぜか。

答えは単純である。

相手が米国だからだ。

ロシアには強く言える。

しかし米国には言いにくい。

イスラエルにも厳しく踏み込みにくい。

この「法の支配」の使い分けこそが、政権の本音を示している。

もちろん国際法評価には専門的論点がある。

だが、少なくとも日本政府の態度が一貫していないことは事実だ。

高市政権は、ロシアを批判するときには原理原則を掲げる。

ところが米国絡みになると、急に「慎重な表現」に後退する。

これでは、国民から

「結局、国際法ではなく対米関係で判断しているのではないか」

と見られて当然である。

そしてこの外交姿勢は、軍拡路線ともつながっている。

日本が「法の支配」の主体なのではなく、日米同盟の中で米国の戦略に歩調を合わせる国である限り、軍拡は「自主防衛」ではなく「対米従属型の再軍備」になりやすい。

第5章|国民生活より軍拡か――2027年から所得税増、改憲も前進へ

防衛財源をめぐっては、ロイターが、2027年1月から所得税に1%の付加税を課す方向だと報じている。法人税4%付加税、たばこ税引き上げと合わせて、防衛費増額の恒久財源を確保する構想である。

ここで政権は、「国を守るため」「厳しい安全保障環境のため」と説明する。

しかし国民の側から見れば、見えてくる構図はこうだ。

消費税減税は国民会議で選別付き。

社会保障改革は不透明。

家計支援は議論ばかり。

その一方で、防衛財源の制度化は着々と進む。

これでは、国民の生活再建よりも、軍拡と安全保障体制の整備が優先されていると見えるのは当然だ。

しかも高市首相は、衆院選大勝後、改憲や安全保障分野の強化に改めて意欲を示したとロイターが報じている。市場関係者の間でも、高市政権のもとで憲法改正や大胆な安全保障政策の見直しが進むとの見方が広がっている。

つまり今起きているのは、単なる個別政策の羅列ではない。

減税論議の統制、財源論の操作、外交の対米忖度、軍拡財源の制度化、改憲への前進という、一つの大きな流れである。

第6章|スパイ防止法は「現代の治安維持法」なのか

そして、その流れの中で最も警戒すべきなのが、スパイ防止関連法制である。

毎日新聞は、自民党総裁選で高市首相が公約に掲げ、自民と日本維新の会の連立合意にも盛り込まれたと伝えている。また同紙は、政府情報機関の強化について、人権侵害への懸念が拭えないと社説で警鐘を鳴らしている。さらに参政党は2025年11月、スパイ防止関連2法案を議員立法として提出しており、2026年1月の国会質疑でもスパイ防止や宣伝・謀略への対抗を強く打ち出している。

ここで見えてくるのは、自民党と参政党が、この分野ではむしろかなり近いということだ。

さらに見逃せないのは、国際勝共連合の公式サイトに、同連合が1979年の「スパイ防止法制定促進国民会議」の創設に加わり、地方議会での制定運動も進めたと明記されている点である。2025年にも、勝共連合会長がスパイ防止法の早期制定を訴えたと世界日報が報じている。つまり、スパイ防止法は、統一教会・勝共連合系が長年推進してきたテーマの一つであることは、少なくとも当事者側の記録から確認できる。

ここで慎重に言うなら、

「自民党も参政党も統一教会の指示通り動いている」とまで断定するのは、行き過ぎである。

そこは証拠のレベルを超えてしまう。

しかし、政治的評価としてはこう言える。

結果として、自民党も参政党も、勝共連合が長年望んできた方向と重なる政策を前に進めようとしている。

この一致は偶然なのか。

それとも思想的連続性の表れなのか。

ここは国民が最も注視すべき点である。

だからこそ、「スパイ防止法は現代の治安維持法ではないか」という警戒は、単なる大げさなレッテル貼りでは済まない。

戦前の治安維持法も、最初から誰もが知る“全面弾圧法”として現れたわけではない。国家を守る、秩序を守る、外敵から守る――そうした名目で正当化されながら、徐々に対象を広げていった。

現代でも同じである。

防諜、秘密保護、外国勢力対策、情報戦対策――聞こえの良い言葉のもとで、監視と萎縮が進む危険は常にある。

結論|参政党は「反自民」ではなく、自民党政治の右側からの補強役ではないか

以上を総合すると、見えてくる構図はかなりはっきりしている。

高市政権は、

消費税減税の議論を国会の外で選別的に進め、

官房機密費のブラックボックスを抱え、

対米外交では法の支配を曖昧にし、

国民負担を伴う軍拡財源を制度化し、

改憲とスパイ防止関連法制を前へ進めようとしている。

そして参政党は、消費税の扱いでは排除された被害者のように振る舞いながら、国家観や安全保障観、スパイ防止法制では自民党と近い位置にいる。参政党自身も高市氏との政策的近さを認めてきた。

この意味で、参政党は「反自民」どころか、

自民党が単独では進めにくい右派的政策を、外から圧力をかけて後押しする補完勢力ではないか。

そう考えると、多くのことがつながって見えてくる。

減税が進まないのは、野党が悪いからではない。

少なくとも今回の枠組みを作ったのは自民党政権である。

スパイ防止法が進むのも、単なる治安対策ではない。

長年の右派・勝共系運動と重なる流れの中で、自民党と参政党が結果として同じ方向を向いている。

そしてその全体像は、

「国民生活の再建」よりも「国家権力の強化」を優先する政治

に見える。

だから今問うべきなのは、

「高市政権は保守か革新か」ではない。

「参政党は与党か野党か」でもない。

本当の問いはこれだ。

この政治は、本当に国民のための政治なのか。

それとも、権力者側に都合の良いシナリオなのか。

そこを見誤れば、私たちは「減税」や「愛国」や「安全保障」という耳触りの良い言葉の裏で、生活も自由も少しずつ削られていくことになる。

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